以前社会人をやりながら博士課程に入学した記事を書きました。
半年ほど前にはなりますが、2025年9月に無事卒業したので社会人博士としての経過をまとめておきたいと思います。
博士進学当時の状況や進学直後の状況は上記の記事をご覧下さい。
以下ではいくつかの観点から社会人博士としての生活を記載します。
業績について
所属大学や専攻に寄りますが、私が所属していた東京大学大学院工学系研究科では、暗黙的にジャーナル3本を目安とした業績やそれに相当する内容が博士論文として必要になります。
私は2022年3月に同じ研究科・専攻・研究室で修士課程を卒業してから、修士論文に(時間の都合で)記載できなかった内容を同年10月の入学時まで実験や分析を拡張し、たまたまトピックの合う国際ジャーナルの特集号があったこともあり投稿していました。10月に入学して比較的すぐの11月に採択され、それが1本となったことが最終的に3年で卒業できた大きな要因となりました。
しかし3本目のジャーナルは、国際会議ではありますが予備審査の約1年前に内容としては完成していたにもかかわらず、国際会議に出していたりジャーナルの査読者がつかなかったりでreviewが初めて返ってきたのが卒業後の2025年12月になってしまいました。
予備審査・本審査の時点では2本採択・1本投稿中というステータスだったので、上出来だったとは言えないです(一応会社で書いていた採択済ジャーナルや国際会議論文は他にありましたが)。
博士進学前のブーストを使ってもこのような感じだったので、社会人博士の本学での卒業という観点でジャーナル3本をきれいに揃えるためには、常にジャーナルに投稿していくのが望ましいように思いました。
私の最初の2本はともに特集号なので、可能であれば特集号だと採択までの流れが早いです。
社会人生活との両立について
会社と家族の理解があった
これに尽きます。逆にこれがなかったら卒業できなかったと思います。
会社は国内/国際学会の発表を業務とみなしてくれ、モチベーションの維持につなげることができました。
業務量が調整できたり裁量のある環境でなければ、結構大変だと思います。
個人的には博士卒業に必要な研究以外も寄り道を結構したので、卒業だけを見ればもっと効率的にできたかもしれませんが、私としては(reject数が少ないのでまだまだ足りないとは思いますが)色々失敗もできたので良い経験になったかなと思っています。
個人的に大変だったこと
- 一番相談に乗ってもらっていた教員の異動
- 研究が右肩下がりだったこと
- 卒業直前の7月に単位の不足が判明したこと
1点目はコミュニケーションの問題ではあるのですが、学部・修士で研究テーマ的に指導教員よりもお世話になっていた研究室の2番めのポジションの先生が栄転することになり、研究室内で直接コミュニケーションを取ることが難しくなりました。
(博士卒業に関係ない寄り道の内容含め)リモートで色々打ち合わせをしていたものの、指導教員としては目の届かないところで勝手に進めているように映ってしまい、あるタイミングから博士研究としての内容については個人的に打ち合わせをするな、ということを伝えられました(背景には他の内容もあるのですがここでは割愛します)。
博士研究は自分で切り開かないといけない、というのはもっともなんですが、それでも一番議論してもらっていた方を失ったのは大きかったと思います。
これは2点目にも影響があったと思います(もちろん大部分は私の力不足によるものですが)。
最後の点は私の確認ミスなんですが、修士2年の最終学期に博士で必要な単位として12単位(所属研究科とそれ以外の研究科の混合)を取得しました。
博士の卒業に必要な講義の単位は10単位なので、余裕を持った設計にしたつもりでした。
ここに罠が2つあって、博士での必要単位として参入できるのは同じ研究科のものだけのようで、修士卒業時にどの単位を修士の卒業単位とするかを指定することで、明示的に所属研究科の単位を修士の卒業単位として使用しない必要があったそうです。
特にアナウンスがなかったのでそのままいい感じにしてくれると思ったのですが、卒業時に比較的所属研究科のものが使われ、残った単位の中に所属研究科のものが足りず、単位が不足する自体になってしまいました。
修士から博士進学を考えていて単位も流そうとしている方は、学務に(面倒がられようとも大事なことなので)ちゃんと確認したほうが良さそうです(1敗)。
博士を取ってみて
給料は上がりませんでした!
ただ客員研究員などを通して現在も研究を続けられているので良かったのかなと思います。
前述の別記事にも書きましたが、博士にストレートで進学することが金銭的や精神的などの理由でしんどそうと感じる方には、1つの折衷案かなとは思います。
結構社会人博士の方も増えているので色々相談先はあるかと思いますが、ご相談があれば私にお声がけいただいても構いません。
最後に修士を卒業してから直近までの投稿などの履歴をまとめておきます。
投稿・採択・不採択履歴(クリックで開閉します)
履歴は主著に限っています。R1のようにRと数字で書いているものは博士論文に関係のあるResearch内容、O1のようにOと数字で書いているものは博士論文に関係のないOptionalであったり会社で書いていた内容です。
2022年
6月: 国際ジャーナル特集号 (R1) 投稿
8月: 国際ジャーナル (R1) major revision
9月: 国際ジャーナル (R1) revision 投稿
11月: 国際ジャーナル (R1) 採択
2023年
1月: 国内会議 (R2) 投稿
2月: 国内会議 (R3) 投稿
8-9月: 国内シンポジウム・研究会 (O1) 発表
9月: 国際会議 (IEEE Big Data, O1) 投稿
10月:
- 国際会議 (O1) 採択
- 国内ジャーナル特集号 (R2) 投稿
12月: 国際会議(O1)発表
2024年
1月: 国内ジャーナル (R2) major revision
2月: 国内会議 (O2) 投稿
3月: 国内ジャーナル (R2) revision 投稿
4月:
- 国内ジャーナル (R2) 採択
- ACL ARR (R4) 投稿
6月: 国際ジャーナル (O2) 投稿
7月:
- 国際会議 (EMNLP Insudstry Track, O3) 投稿
- ACL ARR (R4) reviewed. 評価が低かったのでARR経由での投稿はせず。
9月:
- 国際会議 (IEEE Big Data, O4) 投稿
- 国際会議 (COLING, Short Paper, R4) 投稿
- 国際ジャーナル (O2) minor revision
10月:
- 国際会議 (EMNLP Insudstry Track, O3) 不採択
- 国際会議 (COLING Industry Track, O3) 投稿
11月:
- 国際会議 (IEEE Big Data, O4) 採択
- 国際会議 (COLING Short Paper, R4) 不採択
- 国際会議 (COLING Industry Track, O3) 不採択
- 国際ジャーナル (O2) revision 投稿
12月:
- 国際会議 (WWW Resource Track, O3) 投稿
- 国際ジャーナル (O2) 採択
2025年
1月:
- 国際会議 (WWW Resource Track, O3) 採択
- 国際ジャーナル (R4) 投稿
4月: 国際ジャーナル (R4) withdraw (reviewerが全然つかないため)
5月: 別の国際ジャーナル (R4) 投稿 and desk reject (今でもこれは納得がいかない)
6月:
- さらに別の国際ジャーナル (R4) 投稿
- 国際会議 (CIKM Resource Paper, O5) 投稿
8月: 国際会議 (CIKM Resource Paper, O5) 不採択
9月: 博士卒業
10月: 国際ワークショップ (O5) 投稿 and 採択
11月: 国際会議 (WWW Short Paper, O5) 投稿
12月: 国際ジャーナル (R4) minor revision
2026年
1月:
- 国際ジャーナル (R4) revision 投稿
- 国際会議 (WWW Short Paper, O5) 不採択
2月:
- 国際ジャーナル (R4) 採択
- 国際会議 (SIGIR Resource Track, O5) 投稿
4月: 国際会議 (SIGIR Resource Track, O5) 採択